痛みについて
体への刺激(引っ張る・刺す・切る・たたくなど)や、やけどや凍傷、虚血、化学物質に触れたりすると痛みは起こります。このように日常生活での痛みは皮膚で感じることが多いですが、打撲や捻挫・骨折などは体の深いところでの痛みです。このような刺激を受けて感じる痛いという感覚は神経で伝わっています。このような刺激がないのに痛む場合は、神経障害性疼痛(神経痛)と呼ばれるものです。
虚血(血流不良)での痛みで有名なものに、心筋梗塞や狭心症があります。この痛みは筋肉に酸素が不足して、乳酸やブラジキニンなどの発痛物質が産生・蓄積して起こります。この他にも正座をした時の痛みやしびれ、激しい運動をした時、運動後の筋肉の痛み、緊張性頭痛などもこれに当たります。関節炎などの「炎」がつくものは、炎症があるために発痛物質が産生・蓄積されて痛みを感じます。こむら返りでは筋肉が痙攣して引っ張られて、筋肉の間にある神経が圧迫、乳酸の産生によって痛みを感じます。
このような刺激を受けた結果、痛みを感じます。筋肉などの組織が損傷すると、痛みを感じるとほぼ同時に炎症が始まります。炎症があると他の痛みに敏感になり、痛くないことを痛く感じたり(痛覚異常)、弱い痛みを強い痛みに感じたり(痛覚過敏)、何もしなくても痛いと感じるように(異痛症:アロディニア)なってしまいます。痛みを感じるときは刺激のような原因があって、脳で痛いという認識と不快感が発生します。その一方で、痛みが過剰にならないように自分で抑える機構も備わっています。痛みを鎮めるには、刺激のような原因を取り除く、痛みの伝達を抑制する、身体に備わっている鎮痛の仕組みを活性化するという方法があります。
痛みにはズキッと感じるものや、ぼんやり痛むもの、早く感じるもの、遅く感じるものがありますが、これは痛みを伝達する神経が2種類あることによります。また、実際に痛い場所とは違うところに痛みを感じるものもあります。よくあるものとして、先ほどの狭心症があります。狭心症が起こって、心臓の筋肉からの刺激が脊髄に伝わるときに、奥歯や腕などからつながっている別の神経にも刺激が飛び火してしまい、その結果として歯や腕が痛いと感じます。このような痛みを関連痛といいます。
また、怪我のあとの痛みや手術後の傷口の痛み、腰痛などがいつまでも続く状態でいると、痛みを脊髄レベルで記憶してしまい、慢性痛の原因(中枢性感作)となります。そのためいつも痛いという状態を作らない、痛みを我慢しないということが慢性痛を予防する上で重要になります。
そのほかにも痛みの原因として、筋膜の異常が原因となって痛みやしびれを引き起こす筋筋膜性疼痛症候群があります。筋緊張性頭痛、腰痛、膝痛、手足のしびれなど、さまざまな症状の原因となっていることがあります。
【参考文献】痛みの考え方 しくみ・何を・どう効かす/丸山一男
当院では痛みの早期改善や慢性化を防ぐため、微弱電流治療機を取り入れています。
◎レントゲンで異常はないのに痛いのはなぜ?
◎自律神経について