スポーツ障害について

スポーツをされている方

 筋肉・骨・腱などに繰り返し負荷が加わって痛める野球肘、テニス肘、シンスプリントや、太腿やふくらはぎの肉離れ・足首の捻挫など、スポーツをしていると何かと怪我はつきものです。そういった怪我や障害には、関節の連動がうまくいっていなかったり、身体の使い方によって負荷がある部分に集中して起こっている事があります。

 復帰のためには怪我を治すことはもちろん、再発を防止するためにストレッチ、筋力トレーニング、体幹トレーニングなどで体のバランスを整え、フォームなど正しい体の使い方を再教育することで「怪我をしにくい体」を作ることが、スポーツを続けていく上では重要になります。また、まだ体が発育途上にある小・中学生などは、特にオーバーユース(使い過ぎ)による怪我・障害の発生を予防することが大切です。

 当院では微弱電流治療機超音波水治療機での治療、それぞれの競技特性を考慮して筋力トレーニング、体幹トレーニングなど、体の連動性を高める運動や体の使い方を指導することで再発防止をはかります。当院にはサッカーや野球、バスケットボール、バレエなど、さまざまなスポーツをされる方が来院されます。日頃のセルフケアやトレーニングなどでお悩みの方はご相談下さい。

症例などはブログからご確認下さい。
◎ワークアウト指導について

オーバーユースによる肩の障害

オーバーユースによる肩の障害

 野球、バレーボール、水泳などでは肩関節の不安定性を原因とする腱板や関節唇の損傷が多くみられます。オーバーユースによる損傷は肩関節の不安定性を原因としている場合が多く、投球動作のような外転・外旋を強いられる動作では、前方の不安定性や挙上時の後下方の不安定性に注意が必要です。

◎小・中学生や高校野球のピッチャーの球数制限は必要か?

投球障害肩

投球障害肩

 肩のオーバーユース(使い過ぎ)が原因となるもののうち、最も多い障害です。基板に肩関節の不安定性があることが多く、通常の動作では無症状で、一般的な検査で異常が認められませんが、肩甲骨の非対称性運動、肩関節の可動域の非対称性、関節の動揺性などが特徴としてみられます。また、MRI検査において複数の異常所見が見られることが多く、その原因を特定することは簡単ではないものです。投球動作はつま先から指先までの全身運動であって、身体の捻りや重心移動で最終的にボールを投げるものです。そのため肩関節だけではなく、投球動作に関わる下半身や腰、体幹、筋力バランス、フォームなどを総合的にみることが重要になります。

◎投げ過ぎて肩を痛めてからの復帰

野球肘(離断性骨軟骨炎)

野球肘

 投球動作を繰り返すことで肘の内側に負荷がかかることで内側側副靱帯を損傷し、筋肉、骨膜や軟骨部分に炎症が起こるものです。また、内側側副靱帯を損傷して肘が不安定な状態で投球動作を続ける事によって、離断整骨軟骨炎を発症します。オーバーユース(使い過ぎ)による代表的な障害で、体幹部と下半身をうまく使えていない子供に多くみられる傾向があります。

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

 手関節屈筋や前腕回内筋腱の繰り返す収縮によって変性が生じたものです。橈側手根屈筋や円回内筋の共同腱部で障害されることが多いため、手関節屈曲や前腕回内で痛みが誘発されることが多い。肘の内側部に大きな張力がかかるゴルフのスイングで生じることが多いため、ゴルフ肘ともよばれます。また、投球動作時においては特にlate cocking期やearly acceleration期に症状が誘発されます。


テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

テニス肘

 テニスのストローク動作の反復する手首の背屈や、前腕回外運動によって前腕伸筋群のオーバーユースや微少断裂を起こしているものです。その他にも日常生活で手首や前腕を繰り返し捻る動作、物をつまみ上げるような動作、パソコン仕事でキーボードを打つ動作などでも起こることがあります。炎症所見がみられることは少なく、45~54歳ごろによくみられるものです。


オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病

 小学校高学年~中学生くらいの成長期の男の子によくみられる、膝のお皿の下あたりに痛みや熱感、腫れなどが出るものです。サッカーやバスケットボール、バレーボールのようにダッシュやターンなどの動作が多い競技をしている人によくみられます。そのような動作で太腿の大腿四頭筋の使いすぎや柔軟性の低下が発端となり、筋肉の骨への付着部で強く引っ張られて炎症が起こります。ひどくなると骨の一部が剥離を起こしたり、骨が隆起してきます。

◎10代に多い脚の痛み①


ランナー膝(腸脛靱帯炎)

ランナー膝(腸脛靱帯炎)

 ランニングなど、膝の屈伸運動を繰り返すことで腸脛靱帯が大腿骨外顆とこすれるようになり、炎症を起こして痛みが現れると言われています。近年では腸脛靱帯と大腿骨外側顆は繊維で連続しているため摩擦は生じにくいことが指摘され、主に腸脛靱帯が大腿骨外側上顆との間にある血管や神経を含む脂肪組織を圧迫することで、炎症が生じるとも言われています。特にマラソンなどの長距離ランナーやバスケットボール、水泳、自転車、バレエなどをしている人にみられます。

◎走って起こる膝痛



シンスプリント

シンスプリント

 ランニング、ジャンプ、ターン、ストップなどの繰り返した動作で、ふくらはぎ後面内側の後脛骨筋の牽引によって骨膜損傷や炎症を起こしたものです。サッカーや陸上など、走る動作の多い競技に多くみられるものです。骨盤~股関節~膝~足首までの連動性からみていく必要があります。

◎症例 マラソンの練習


疲労骨折

疲労骨折

 骨に繰り返し加わる小さな力で骨にひびが入ったり、骨折したものです。疲労骨折がよくある場所として、足の第2中足骨、脛骨、腓骨、肋骨、足関節内果、尺骨などがあります。ぶつけたりしたわけでもないのに痛みがある場合などは、この疲労骨折が疑われます。特に脛骨の場合にはシンスプリントとの鑑別上、注意が必要です。筋力不足、アンバランスな筋力、体の柔軟性不足、オーバートレーニング、合っていない靴などが原因となります。


捻 挫

足首の捻挫

 手首や足首などに外部から瞬間的に強い力が加わり関節、靭帯、腱、軟骨などが傷つくものです。足首の捻挫でもレントゲン撮影をしてみると、実は骨折していたというのはよくあることです。軽い捻挫と自己判断して適切な処置をしなければ、正座がしにくい、正座をすると痛みが出る、何度も同じところを捻挫する、足首の不安定感などの症状が残り、日常生活に影響が出ることもあります。

◎足首の捻挫で骨折している、していないの判断指標


肉離れ

肉離れ

 瞬間的に筋肉が収縮・伸長されることで、筋膜や筋肉繊維の一部が切れてしまったものです。短距離走やサッカーなどで走っている時に起こしやすく、ハムストリングス、大腿四頭筋、腓腹筋、大腿部内側の内転筋に多くみられます。肉離れの原因は筋疲労、先行する筋損傷の存在、適正なウォーミングアップの欠如、筋の柔軟性低下、左右のハムストリングス筋力のアンバランス、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力のアンバランスなど、さまざまです。また適切な処置・治療を行わなければ、何度も再発することがあります。